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本屋のこんな利用法

どんどん細かい話に陥ってしまい、一個一個の費用を何対何で分けるのにはどちらを選ぶのが正しいか、そのためにはどのような調査が必要かなど、あれもこれも計算式に反映していては、使えない情報システムになってしまう。 それで喜ぶのは、システム開発を行うベンダー(メーカーソフト会社)だけで、実際にそれを使う側のビジネスマンにとっては、あまり役に立たない可能性がある。
ここを見極める役割を担うのが、ビジネスとITの橋渡しにあたる人間であり、ITコンサルティングのマインドとスキルをもった人間である。 要するに「リアルビジネスはこういうふうに動いているのだから、実際にはここまでの計数で十分です」と決めていく役割を果たす人材である。
しかし、逆に、リアルビジネスを念頭に置いて、作業を細かくするケースもある。 前節で紹介したダイレクト・マーケティング・プロセスの呼損率、平均処理時間など、きめ細かい計数の設定は逆にビジネスを意識しないと出てこないものである。
コールセンターのインフラを構成する(オート・コール振り分CTI (コンピュータ・テレフォニー・インテグレーション) やACDIT変革で求められるマインドとスキルけ機能)といったITにどのような機能を求めるのか。 その結果、どういう指標をレポーティング(報告)させて、どうコントロールするかに関しては、可能なかぎり妥協をせずに求めていく面も必要である。
当然、運用できなければ意味がないため、情報システムに対する要求だけでなく、データ入力の面で、機械で自動的にとるデータは何か、オペレーターが入力する情報は何と何なのかなど、オペレーターの負荷や生産性を考慮するほかに、その教育訓練までを含めた仕組みづくりを行うのである。 ここで、もう一度、ITコンサルタントの働き方、あるいはITコンサルティングに話を戻すと、いたずらに細かく追求するのではなく、必要にして十分な機能をビジネスの観点から見極め、情報システムやそれ以外の業務を構成する要素に落としていくことが重要である。
その見極めに責任をもつのがITコンサルタントである。 また、落とすにあたっては、使いこなす仕組みの構築と費用対効果を検証することもITコンサルタントの大きな役割なのである。

ここではサプライチェーンの変革においてITコンサルティングのマインドとスキルをどう発揮するかを話したい。 サプライチェーンは、単にモノをつくって運ぶだけのプロセスではない。
製造業であっても金融業であっても、全体計画を立てて、業者と協力して、モノやサービスをつくって運び、顧客に届けて、お金を回収するという企業活動のプロセスにかかわる根幹をなすプロセスである。 それだけに関連する部門が多い上、全体最適をめざすため、ITコンサルタントにとっては活躍するフィールドと非常に関連が深く、必要とされている分野である。
サプライチェーン改革の目標としてあげられる指標には、次のようなものがある。 受注即応率 受注に対して品物を要求どおりに出せる率(欠品しないこと)納期回答精度 受注段階で納期がいつになるかを回答し、それを守れたかどうかを示す指標在庫保管日数 自社の倉庫内に製品が保管されている日数(在庫が少なく無駄がないこと)物流経費 物流に費やした費用関連部門の人数 労働生産性(少ない人数で業務を遂行できること)これらの目標を高いレベルで達成することが求められる。
これは、受注即応率や納期回答精度が1OO%近くで、在庫保管日数や物流経費、関連部門の人数も少なければ少ないほどよい。 そして、各部門に目標が与えられる。
その結果、具体的な事象として起こることは、往々にして全体最適とは相反するものとなる。 営業部門では、販売機会を逃さないためには欠品を出さないことが重要なので、多めの生産計画を生産部門に提示する、あるいは在庫を増やしてもらうことにより、欠品を出さずに1OO%近い確率で受注即応できるようにしようとする。
受注部門では、納期回答精度を上げるために、あらゆる種類の在庫を多めにもち、いつでも倉庫から必要な量を出せるようにして、納期回答精度を1OO%近くにしたいと考える。 物流コストを削減する意味では、なるべく大量に一度に出荷すると効率が上がり、物流経費は下がる。

したがって、量がまとまるまで出荷しない方が実は効率が上がることになる。 そこで、お客さまの様々な求めに応じて何月何日に出すと約束するのではなく、何月何日ごろに出すと言えれば経費削減につながる。
また、在庫も少なければ少ないほど、倉庫や保管にかかわる経費は少なくてすむ。 生産部門では、製品一個当たりの生産コストを下げるために、大量につくる方が有利なことは言、つまでもない。
売れようが売れまいが、一万ケース単位でつくって倉庫に置くことができれば、その方が生産コストが下がって原価率も下がる。 要するに今の企業の多くは、サプライチェーンを縦割りにして機能別組織にしているため、お互いがお互いの目標を追求すると、必ず組酷が発生する。
それが機能別組織の特徴であり、部分最適によるちぐはぐな組織行動が起こる原因となる。 では、なぜ部分最適だと全体がうまく目標達成できないのか。
見ていただければわかるように、各々の活動がすべて連携しているからである。 販売予測から始めると、それに基づいて物流計画、生産計画を立て、それで購買を行い、在庫ができる。
販売予測に対して実際の受注があり、予測と実際が合うか合わないかによって在庫が増減し、欠品が発生することもある。 受注で顧客に約束したことは、出荷配送で果たさなければいけない。
約束を守るために無理をすれば余計に経費がかかる。 効率性という面からロットをまとめようとすれば、受注部門は納期を守れない。
これらの活動を無駄なく円滑に行い、各部門が目標を達成するためには、販売予測に近い量の注文が実際にきて、納期回答どおりに出荷できる在庫がきちんと確保されていなくてはならない。 そのためには、生産や調達が計画どおりに行われて、納期どおりに倉庫に製品が入って出荷されていく。
そういった一連の活動の連携がうまくでき、さらに現実の活動が計画どおりに進んでいないと、目標値を同時に達成することはできない。 ところが、縦割りの組織で各々の目標だけを掲げて、個別に一生懸命努力してきた人たちには、全体の連携の姿が見えない傾向がある。
そのため物流部門は「そもそも生産がしっかりしないから、荷物が着くのが遅れるんだ」、「だから、自分たちが非効率になるんだ」と言い、受注部門は「倉庫にモノが着いているのに、なぜ出荷しないんだ」、「注文を優先すべきで、検品待ちのモノでも出荷すべきだ」と騒ぐことになる。 一方、営業部門は、販売予測が不正確なのを棚にあげて、「あの顧客には、緊急出荷してほしい」、「明日中に荷物が着かないと、今後の商売に差し支える」と無理な要求をすることになってしまうのである。

これをうまく連携させるためには、一つひとつルールを決めていかなくてはならない。 非常に細かいルールを決めて、各部門がそれを守れて初めて、円滑な連携が実現するのである。

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